香りの秘密

molecule 01というかなりマニアックなフレグランスを知り合いの美容ライターさんから教えてもらったのが、3年前。その印象深い出会いからすぐに、常に意識に上らない「わたしの匂い」として定着してしまった。どんな香りかというと、ウッディで官能的というくらいしか説明できない。どうやら人の個性(あらゆる意味において)に大きく影響されるようで、その上この香水、つけた瞬間も含め自覚がない、というかできない。ところが、シュッとひと吹きで十分で、それ以上になると(自身では感知できないのに)強烈に自己主張、無言で多言を繰り広げてしまう。印象的な出会いと言っても、彼女の香りが強かったわけではない。時折、薄く漂う…頼りな気で微かな… 絶対にどこから来るのか元を知りたいと、話も上の空で探し求めてしまう薫香。長い間一緒にいても、そのジャケットからだ!と確信するのに呆れるほど時間がかかり、そして彼女はその日は何もつけていなくて、数日前のことだと知り、更に驚いた。それまでの香水の類では経験のない、強い個性なのにどこまでも儚いというイメージが衝撃的だったから。

そのパッケージは、記録を呼び戻す脳神経、シナプスの形を施してデザインされたという。香りは”感情の記憶”も連れてくる。すれ違いざまに誰かを想い出したり、一瞬で過去へワープしたり。経験すると、香りを纏う価値に目覚めるのだけれど、これが実に、日本人には特に、本当に難しい。
香りの種類は、選ぶ人の嗜好を語るし、品格を表す。相応しくなければ、未熟さ、悪趣味度合いが露呈してしまうことがある。

衣類の柔軟剤も含め、長年、香らない選択をしていた時代にも、作り込まれたものではない「天然の芳香」は活用していた。身につけるというよりは、素肌にすり込む形で、ローズマリーやレモングラスのスパイシーブレンド、もしくはフラワリーなダマスクローズとネロリエッセンシャルオイルを高濃度で希釈したマッサージオイルを。
角質に染み入った清香なら、体温が上がった時にふわっと立ち上がる。

天然の芳香は、ただ気分を変えるのではなく、化学的に体内で働くのだ。
鼻から吸引された芳香成分は、脳の視床下部に着くと電気信号に変わり、自律神経などに作用するというデータがあり、人が「いい香り!」と感じた瞬間から、体の中では化学変化が始まっている。
これは香水と違って、「好きな香り」であれば誰でも簡単に応用できる、魔法。
例えば、ローズマリーの香りが好きな意中の彼に、天然成分100%でできたローズマリーのシャンプーをプレゼントしたとする。彼はシャンプーする度、贈り手のことを思うかもしれない。その体内で起こる浄化作用と一緒に記憶に刷り込まれることになる。キャロルプリーストのシャンプーは3,500円するけれど、ちょとしたお菓子やお酒を送っても数日でなくなるというのに、純度と鮮度の高いローズマリーの香りは 3か月以上、毎日、毎晩、”超プライベートな空間”であるバスルームいっぱいに「想い」が続く。

考えただけで、ドキドキしてくる。

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